SSブログ

梅雨の晴れ間のお出かけ その1 久々美術館 [趣味関係]



緊急事態宣言がとりあえず解除されたことと
府内の新規感染者数が2桁の間に…と思って
梅雨の晴れ間の高温にならなさそうな日を狙って久々に美術館に行っておりました。

まずはこちら。
とってもご無沙汰!
IMG_20210622_105253.jpg


何か所が行きたい展覧会がありチェックを入れていたうちの一つで、うきうきと最初の階に。

「あれ?何を見たかったんだっけ??」
風景やモブシーンの続く渋い色の屏風などをみて思い出そうとすることしばし。

さささーっと流し見て次のフロアに進むと、あーこういうのだっけかな~?
それにしてはそこまで萌えを覚えるようなものでも…とまだ速足。

そして最後のフロア。
あーーーー!これを見たかったんだわ、きっと!
と、自分の選択に納得。

南蛮好みの宝箱や縞柄の蒔絵箱!
もう何度か目にしていることと思うのですが何度見てもやっぱりいい!!
漆器は(陶磁器も)輸出用の西洋風の意匠が大好物でございます。

このフロアは8~9割方お好きなもので占められておりました。
見ていてトキメク~[ぴかぴか(新しい)]


…ということでHPの出品リストをチェックしながらさらってみると…

前記の蒔絵螺鈿洋櫃と縞螺鈿蒔絵箱はお好きなもの定番。
陶胎胡粉地彩色の遊楽図高杯は、
イベント用に用意されたと思しき波と踊る人の取り合わせのデザインがとても大胆で楽しい逸品でした。

江戸前期の男女遊楽図屏風の独創的な時代のモードの先端を行く傾奇者を見ていると
AKBやジャニーズのような感じでもあり、
「出雲のおくに」というのはきゃりーぱみゅぱみゅ的な存在だったのかなぁと思ったりとか。

興味深かったのは江戸後期の「風俗図絵巻」、
身分・職業別に男女の服飾を描いたもの。
男性の風俗・ファッションへの興味は女性と比べると格段に低いのが常なのですが、
じーっくり筆書きのキャプションの読めるところまで読むくらいに眺めているとなかなか面白かったです。
裾を引かんばかりにぞろりと長く渋い縞を重ねてる大店の身持ちのよさそうなイケメンから始まり
最後は醜女にもほどがある夜鷹まで。

記憶に残っている感想はといえば、
男性でも裾の丈が違っていることや、
髷(まげ)もよく見たら描き分けされている気がするのだけど、
それが何かまではちょっと不明。
(多分本田髷とかよばれてるやつのような気がしますが、その中でも色々種類があったようですね。
 細くしたりウルトラマンのように平たく立たせたりしたこともあるとか?)
陰間ファッションは本当に遊女かと見間違えるばかりなのだけど、
当時も一括りに陰間といえど嗜好の違いはあったのでは?と。

男性に限らず粋人の渋いファッションって利休のようなちょっと斜に構えた美意識に近いものがあると思うのだけれど、
お上によるご禁制政策を逆手にとったもので実はムチャクチャ高価な仕様、
意気(≒⇒粋?)の塊のような気がしてます(江戸市中だけかもだけど)。

それにしても、大正期ぐらいから日常の場で長着の重ね着をしなくなったのはなぜなのでしょ?
羽織物ではない一番表の長着一枚の下はすぐ下着扱いって…。
今時の留袖が一般的になったころ比翼を不様だとか言う人もいたように推察されるのですが。
個人的には男性女性に限らずフキが重なり裾がチラ見えしている辺りがコーデの愛でポイントの一つでもあるのですが…。


この階は「時時粧(いまようすがた)」がテーマとのことで、
再び前の階に戻って「男のいでたち 女の着こなし」をゆっくり鑑賞。

こちらの「菊蒔絵十種甲箱」「藤蒔絵提重」も気品ある漆器で佳品でした。
ただハイカルチャーな香りがし過ぎてちょっと遠い存在?
(もらったとしてもあまりにもったいなく触るのさえ憚られ、保管に持て余しそうだワ)

ポスターに使われていた北斎の肉筆画もこのフロア。
よく見たら昔漫研時代ポーズの参考に使ったことのある人物が。(ポスターには写っていない~)
髪型や顔、着物も替えているし模写というには似てなさすぎるので、
どれを参考にしたんだっけ~?と探すとなると大変なような気がしますが、
その反対ってすぐ判る(思い出せる)ものですね。

この階でじっくり見て凄いナと思ったのは
「犬追物図屏風」「観馬図屏風」でした。
元来美人画とか風俗画が好きなので風景画や俯瞰図みたいなものにはそれほど興味はないのですが、
これは…人物画?!

「犬追物図屏風」は左右対称の構図で雲や木が六曲一双に広がるのですが、
一人一人の表情や動き、装束までがこと細かに描かれていてそれがまあなんと生き生きしていること!
桟敷に手をかけたり身を乗り出さんばかりに眺めていたり馬に乗って追っていたり犬を扱っていたり…。

館の内外には身分や階層に応じて忠実に描き分けられた人々の
それぞれ待ちわびていたこの日を楽しむ様子が画面のあちこちに描かれているのですが、
どの人もにこやかで、見ている側の心をも浮き立たせられるような表情に溢れる屏風絵でした。
こんなの初めて?

「観馬図屏風」の方もこれは誰?と登場人物の配置や装束から設定を探りたくなるような描写で
ああこの絵師は馬を描くのが好きなんだろうな~としみじみ思えるような馬愛を感じられるものでした。
こちらも風景というより風俗・人物・動物画的魅力が。

時節柄いつかまたこんな時がやってくるわよね…と、希望の光のような屏風でもありました。






nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。